薬学雑誌, 105 , 1052-1057 (1985)

高コレステロール食（HCD）を与えられたラットの高コレステロール血症に対する大麦若葉エキスの効果を確認した。大麦若葉エキスの水不溶性画分からの n-ヘキサン抽出物はコレステロール低下作用を示した。 低コレステロール血症効果の原因となる少なくとも 2 つの物質が n-ヘキサン抽出物から単離され、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製された。 そのうちの 1 つは β-sitosterolで、もう 1 つは分子量 382 の飽和高級アルコールである n-hexacosyl alcoholであった。n-hexacosyl alcoholを 1% の濃度で添加した HCD を与えたラットでは、血漿コレステロールが増加した。 同様の実験では、β-sitosterolは3日目と9日目の両方でラットの血漿コレステロール値を著しく低下させた。これらの実験を通じて、大麦若葉エキスには低コレステロール血症物質が含まれていることが確認できた。 そして、β-sitosterolとn-hexacosyl alcoholなどの2つの化合物がコレステロール低下作用の原因であることも確認した。

大竹英俊 1)，野中涼代 1)，澤田淑子 1)，萩原義秀 1)，萩原秀昭 2)，久保田和彦 3)
1)日本薬品開発　2)萩原健康科学研究所　3)東京理科大学薬学部