研究実績一覧
大麦若葉エキスに関する過去の研究実績の一覧です。
3T3-L1脂肪細胞を用いたパロアッスルのアディポカイン分泌調節機能
「日本薬学会 第133年会(2013)」
マウス前駆脂肪細胞にパロアッスルを作用させたところ、インスリン抵抗性に関与するレプチン及びレジスチン量を濃度依存的に抑制した。また、PPARγのmRNA発現増加と転写活性を促進し、さらにアディポネクチンの発現を増加させることが確認された。パロアッスルは前駆脂肪細胞の分化を促進し、PPARγの転写活性を調節することにより、成熟脂肪細胞特有の機能因子であるアディポカインの発現を調節して、インスリン抵抗性を改善する可能性が示唆された。
○船木麻美1,木村友紀1,佐藤洋美1,石川桃子1,吉田博也2,深田秀樹3,長谷川秀夫4,上野光一
(1千葉大院薬,2インターナショナルホームメディカル,3日本薬品開発,4認定NPO法人日本サプリメント臨床研究会)
【目的】パラグアイ共和国チャコ地方に自生しているキク科の多年生植物CyclolepisgenistoidesDon(一般名パロアッスル)は、これまでにその抽出物をサプリメントとして摂取することにより、抗肥満作用・抗動脈硬化作用・血糖降下作用・αグルコシダーゼ阻害作用を示す傾向が認められたという報告があり、パロアッスルはメタポリックシンドローム(MS)の予防に効果を示すことが期待されている。
そこで本研究では、パロアッスルの脂質・糖代謝に対する作用を明らかにするため、多彩なアディポカインを産生しインスリン抵抗性を介したMSの病態形成に深く関与する脂肪細胞を用い、前駆脂肪細胞に対する分化誘導能およびアディポカイン発現-の影響について検討した。
【方法】マウス3T3-Ll前駆脂肪細胞にパロアッスルの含水アルコール抽出エキス末(パロティエラ;Palo)を添加し、インスリン抵抗性に関与するレプチン及びレジスチン量をELISAにて検討した。また、成熟脂肪細胞-の分化誘導能をoilRedO染色にて、脂肪細胞分化のマスターレギュレーターであるPPARY の発現をReal-timePCR、転写活性をLuciferaseassayにて、PPAR†の下流のインスリン抵抗性改善因子であるアディポネクチンの発現をRea1-timePCRとELISAにて検討した。
【結果・考察】paloはレプチン並びにレジスチンの発現を濃度依存的に抑制した。また、paloは前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞-の分化誘導を促進し、PPARγ のmRNA 発現増加と転写活性を促進し、さらにアディポネクチンの発現を増加させることが確認された。今回の結果から、paloは前駆脂肪細胞の分化を促進し、PPARの転写活性を調節することにより、成熟脂肪細胞特有の機能因子であるアディポカインの発現を調節して、インスリン抵抗性を改善する可能性が示唆された。